新型 日産リーフ フルモデルチェンジ 2025年モデル SUVへの大変革、航続距離600km超、プロパイロット2.0搭載でEVの未来を切り拓くか?

2026-Nissan-Leaf

2025年6月17日、日産自動車は、電気自動車(EV)の歴史そのものとも言える「リーフ」のフルモデルチェンジした新モデルを公開しました。2010年の初代登場以来、グローバルで累計70万台以上を販売し、EVという概念を世に広めたパイオニアが、2025年10月の日本発売を前に、その姿を劇的に変えて我々の前に現れたのです。これは単なるモデルチェンジではありません。従来のハッチバックという殻を打ち破り、洗練されたクーペSUVへと大胆に生まれ変わった新型リーフは、日産が「フューチャー・スタンダード」、すなわち未来の当たり前となるEVの姿を提示する、極めて戦略的な一台です。

目次

第1章:デザインの大胆な革新 – ハッチバックからクーペSUVへの劇的な転生

新型リーフを目の当たりにして、誰もがまずそのスタイルの変貌に驚かされることでしょう。長年親しまれてきた丸みを帯びたハッチバックスタイルは完全に過去のものとなり、その姿はまるで「ミニ・アリア」と表現される、シャープで流麗なクーペSUVへと生まれ変わりました。この変化は、単なる見た目の刷新に留まらず、現代の市場トレンドとEVとしての機能美を高度に融合させるという、日産の明確な意志の表れです。

1-1. コンセプトの転換とエクステリアが放つ抗いがたい魅力

「正直ね、かっこいいと思います。」という素直な感想が漏れるほど、新型リーフのエクステリアは多くの人々を魅了する力を秘めています。その核となるのが、日産のフラッグシップEVであるアリアから受け継いだデザイン言語です。フロントマスクには、アリアの要素を感じさせつつもさらに進化した「デジタルVモーション」が採用され、いかにもEVであることを主張するかのような短いボンネットフードと共に、先進的で力強い表情を創り出しています。

特に注目すべきは、リアビューです。往年のスポーツカー「フェアレディZ」の面影を感じさせると評されるリアコンビネーションランプは、「LED3ホログラフィックリアコンビネーションランプ」と名付けられ、縦に2つ、横に3つのラインが浮かび上がります。これは日産の「2(ニ)」と「3(サン)」を表現したものであり、ボディの様々な場所にこうした「2と3の隠れ要素」が散りばめられており、オーナーが探す楽しみも提供しています。

ハッチバックでありながら、流れるようなルーフラインは「セダンライクなスタイリング」の「ファストバックのようなデザイン」を描き、これまでのリーフが持っていた実用車然としたイメージを払拭しています。フェンダーアーチモールやサイドロアモールが装着され、車高も上げられたことで、最低地上高を確保した本格的なSUVスタイルを確立しています。

1-2. 卓越した空力性能と機能美の融合

この美しいデザインは、見た目だけのものではありません。EVの性能、特に航続距離を左右する空力性能が徹底的に追求されています。新型リーフのCD値(空気抵抗係数)は、日本仕様で0.26、欧州仕様に至っては0.25という驚異的な数値を実現しています。これは、EVのベンチマークであるテスラ モデル3に匹敵するレベルであり、いかに日産がこのモデルの効率性を重視しているかが窺えます。

この優れた空力性能は、細部にわたる緻密な設計の賜物です。ドアハンドルは、使用時以外はボディと一体化する格納式の「フラッシュドアハンドル」をリーフとして初採用。ホイールも、日本の伝統的な市松模様を彷彿とさせる「デジタルなグラフィック」が施された19インチのエアロデザインアルミホイールが装着され、先進性を表現しつつ空気の流れを最適化しています。さらに、リアエンドはダックテール形状とすることで、車体後方での空気の剥離をコントロールし、抵抗を低減。こうした一つ一つの工夫が、後述する長大な航続距離を支える重要な基盤となっているのです。

1-3. 日本市場に最適化された絶妙なボディサイズ

SUVスタイルへと変貌を遂げたことで、ボディサイズが大型化したのではないかという懸念を抱くかもしれませんが、その心配は無用です。日本仕様のボディサイズは、全長4360mm、全幅1810mm、全高1550mmと、驚くほどコンパクトにまとめられています。これは、例えば大ヒットした「プリウスよりも全長で24cmも短い」サイズです。この取り回しの良さは、日本の道路事情において大きなアドバンテージとなるでしょう。

さらに特筆すべきは、全高が1550mmに抑えられている点です。これにより、都市部で一般的な「ロールーフ対応のマンションの立体駐車場にも入る」可能性が非常に高くなります。SUVの力強いスタイルと優れた居住性を享受しながら、駐車場の制約という現実的な問題をクリアするこの絶妙なパッケージングは、日本のユーザーにとって計り知れないメリットをもたらします。ラゲッジ容量も後席を使用した状態で420Lを確保しており、Cセグメントのクロスオーバーとして標準か、やや大きめの実用性を備えています。

第2章:質感を極めたインテリアと未来を映すインターフェース

エクステリアの変革に呼応するように、インテリアも「全く新しい日産の内装デザイン」が採用され、質感と機能性が劇的に向上しました。そこは、単なる移動空間ではなく、先進技術と心地よさが同居する上質なラウンジのような空間へと昇華されています。

2-1. 新世代デザイン「モノリス」と開放的な空間設計

運転席に座ると、まず目に飛び込んでくるのが「モノリススタイルデザイン」と称される、2枚の液晶モニターを一体化した巨大なディスプレイです。合計14.3インチにもなるこのデュアルディスプレイは、「どのメーカーを見渡してもかなり最大サイズ」と評されるほどのインパクトを持ち、新型リーフの先進性を象徴するコックピットの核となっています。

インフォテインメントシステムには、Googleが組み込まれた「Googleビルトイン」機能が搭載されます。これにより、ナビゲーションシステムは常に最新の地図情報が反映されるGoogleマップとなり、Google Play Storeを通じてサードパーティ製のアプリを自由にインストールすることも可能です。もちろん、「ワイヤレスのApple Carplay Androidにも対応」しており、あらゆるユーザーのスマートフォンとのシームレスな連携を実現します。

シフト操作は、新型セレナなどで採用されている先進的な「ボタンタイプ」に変更されました。これによりセンターコンソール周りの物理的な制約がなくなり、デザインの自由度が向上。足元が広くなり、開放感のある空間作りに貢献しています。また、エアコンユニットをモータールームに集約したEV専用プラットフォームの恩恵により、室内空間、特に足元の広さは特筆すべきレベルに達しています。

2-2. 五感を満たす革新的な快適装備

新型リーフのインテリアは、視覚だけでなく触覚や聴覚にも訴えかけます。ダッシュボード上部には清潔感のあるホワイトの素材が用いられ、そこを走る「ライン上のアンビエントライト」が上質な雰囲気を演出。このアンビエントライトは64色から好みの色に変更可能で、気分に合わせた室内空間を創り出せます。そして、手で触れる部分のほとんどが柔らかな「ソフトパッド」で仕上げられており、クラスを超えた高い質感を実感できるでしょう。シートには、長距離移動での疲労を軽減する日産独自の「ゼログラビティシート」が採用されており、どこまでも走り続けたくなるような快適性を提供します。

そして、日産車として初採用となる「高い遮熱効果を持つ調光パノラミックガラスルーフ」は、このモデルのハイライトの一つです。電子調光技術により、スイッチ一つでガラスの透明度を「透明」「完全遮光」、さらには「フロント部分だけ」「リア部分だけ」といった4パターンに細かく調整できます。日本の伝統的な霞模様からインスピレーションを得たという美しいデザインに加え、赤外線反射コーティングが施されているため、年間を通じて快適な室温を維持します。さらに、リアシェードには「LEAF」の文字が浮かび上がるという遊び心も盛り込まれており、所有する喜びを掻き立てます。

2-3. EVならではの静寂が生み出す極上の音響体験

EVの大きな魅力の一つが、エンジン音や振動のない圧倒的な静粛性です。新型リーフは、この静けさを最大限に活かすため、音響システムにも並々ならぬこだわりを見せています。「パーソナルプラスプレミアムオーディオシステム」として、BOSE製の10スピーカーを搭載。特に注目すべきは、アリアでも好評の「ヘッドレストスピーカー」が採用されている点です。「エンジンとかから発する振動騒音がないので、よりね、いい音で車内で音楽を楽しめそう」という期待通り、コンサートホールのようなクリアで没入感のあるサウンド体験を可能にします。静寂な空間で、お気に入りの音楽に包まれる時間は、EVならではの贅沢なひとときとなるはずです。

第3章:EVの核心 – 航続距離と充電性能の飛躍的進化

EVを選ぶ上で最も重要な要素であるバッテリー性能と充電インフラへの対応。新型リーフは、この核心部分において、ユーザーが抱えるあらゆる不安を払拭すべく、飛躍的な進化を遂げています。

3-1. 航続距離600km超えを実現する新世代バッテリー

新型リーフには、2種類のバッテリーサイズが用意されます。スタンダードモデルには52.9kWh(最高出力174馬力/最大トルク345Nm)のバッテリーが、そしてロングレンジモデルには75.1kWh(最高出力214馬力/最大トルク350Nm)の大容量バッテリーが搭載されます。

特筆すべきは、75.1kWhバッテリー搭載モデルの航続可能距離です。日産の公表値(交渉値)では、日本・欧州のWLTCモード換算で「600km以上走れる」とされており、これはEVに対する心理的な障壁を大きく下げるものです。「実質的には8割ぐらいと思っても500km以上は走れそう」という評価もあり、東京から大阪までの長距離ドライブも、途中の充電をほとんど意識することなく可能になるレベルです。この性能は、リーフとして初めて水冷式の温度調整システムを備えたリチウムイオンバッテリーの採用によって実現されており、安定したパフォーマンスと長寿命化にも貢献します。

3-2. 充電時間を大幅に短縮する高速充電性能

長大な航続距離に加え、充電時間の短縮も実現しています。新型リーフは、最大150kWのDC急速充電に対応。これにより、バッテリー残量10%の状態から80%までを最短35分で充電することが可能です。さらに、「15分程度の充電で約250kmほどの距離を回復させること」もできるとされており、これは「テスラのスーパーチャージャーと、まあ同じぐらい」の性能に匹敵します。これにより、長距離移動中の充電も短時間で済ませることができ、EVの利便性は飛躍的に向上します。

3-3. 賢い頭脳を持つインテリジェントなエネルギーマネジメント

新型リーフの真骨頂は、単にバッテリーを大きくし、充電速度を上げただけではない点にあります。車全体のエネルギーをインテリジェントに管理する、賢い頭脳が搭載されているのです。その一つが、「ナビリンクバッテリーコンディショニング」です。これは、ナビゲーションシステムで行き先を設定すると、ルート上の勾配や交通状況を予測し、バッテリーを常に最適な温度に保つよう自動でコンディショニングする機能です。テスラのプレコンディショニング機能に類似したこのシステムは、特に急速充電ステーションへ向かう際に事前にバッテリーを最適な温度に温めることで、充電効率を最大化します。

さらに、車全体の熱を一括制御する「エネマネ」システムも革新的です。例えば、普通充電時に充電器から発生する熱を利用してバッテリーを温め、寒冷地での回生ブレーキの性能低下を防ぎます。また、バッテリーが発生した熱をエアコンの暖房に活用するなど、これまで捨てられていた熱エネルギーを無駄なく使い切ることで、全体のエネルギー効率を高め、実用的な航続距離の伸長に大きく貢献しているのです。

第4章:走りの質感を高める新プラットフォームと静粛なパワートレイン

デザインと効率性だけでなく、走りの質も新型リーフは新たな次元へと到達しています。その根幹を支えるのが、アリアと共通のEV専用「CMFプラットフォーム」と、新開発のパワートレインです。

4-1. アリア譲りのCMFプラットフォームがもたらす上質な走り

新型リーフがアリアと「シャーシ共有」しているという事実は、この車のキャラクターを理解する上で最も重要なポイントです。ある専門家は、新型リーフを「アリアのショートホイールベースバージョン」と表現しています。アリアのホイールベース2775mmに対し、新型リーフは2690mmと85mm短縮されていますが、プラットフォームの基本骨格を共有することで、従来のコンパクトカーの枠を超えた「ボリューム感」と、バッテリーを床下に敷き詰めることによる圧倒的な「低重心」を実現しました。

これにより、走行性能は劇的に向上しています。サスペンションはフロントにストラット、そしてリアには上級車種に用いられるマルチリンク式を採用。さらに、先代モデルと比較してボディの「横曲げの剛性」が66%も向上しており、コーナリング時の安定性やステアリング操作に対する応答性は格段に高まっています。その乗り味は、単なるSUVではなく、「クロスオーバークーペ」のような「走りいい」車と評価されており、ドライバーの意のままに操る楽しさを提供します。それでいて、最小回転半径は5.3mと取り回しの良さも確保されており、日常使いでのストレスもありません。

4-2. 静粛性とパワーを両立した新開発「3-in-1 e-パワートレイン」

心臓部であるパワートレインも、日産が新開発した「3-in-1電動パワートレイン」へと進化しました。これは、モーター、インバーター、減速機を一つのモジュールに統合したもので、従来ユニットより容量を10%削減し小型化を実現しつつ、モーターの最大トルクは4%向上させています。

この新パワートレインの真価は、その圧倒的な静粛性にあります。「ローターの斜め構造配置と高剛性ハウジングの採用」によりモーター自体の剛性を高め、音や振動の発生を根源から抑制。その結果、モーターの振動レベルは驚くべきことに「1/4にまで低減」されています。これにより、「質の高い走り、そして音と振動を抑えている」ことが期待され、前述したBOSEのプレミアムサウンドシステムと相まって、この上なく静かで快適な移動空間を実現します。

4-3. 日常の運転をより快適にする先進の走行制御

従来のe-Pedalに加え、新型リーフには「インテリジェント ディスタンス コントロール」という新たな運転支援機能が搭載されています。これは、トヨタのプロアクティブドライビングアシストに似た機能で、クルーズコントロールを使用していない通常走行時でも、ドライバーがアクセルをオフにすると前方の車両との車間距離を検知し、自動で穏やかにブレーキを制御して車間を調整してくれるシステムです。前方車両が停止すれば自車もスムーズに完全停止まで追従し、その際の減速エネルギーは効率的にバッテリーへ回生されるため、燃費ならぬ「電費」の向上にも貢献します。ドライバーの加減速操作の負担を軽減し、よりスムーズで安全な運転をサポートします。

第5章:最高峰の安全・運転支援技術と「動く蓄電池」としての価値

日産の技術力の結晶である先進運転支援システム「プロパイロット」も、もちろん最新版が搭載されます。そして、EVならではの機能として、社会インフラとしての役割も期待されています。

5-1. 高速道路での手放し運転を可能にする「プロパイロット2.0」

新型リーフの大きな魅力として、「日本仕様にはプロパイロット2.0採用」が明言されている点が挙げられます。これにより、ナビゲーションでルート設定をした高速道路の本線走行中に、一定の条件下で手放し運転(ハンズオフ)が可能になります。「高速道路で車速の制限なし、制限速度のプラス10kmまでハンズオフ、手話足話運転ができる」この機能が、アリアやスカイラインといった上級モデルだけでなく、より身近なリーフに搭載されることは、「こんなに嬉しいことはない」と高く評価されており、長距離ドライブの疲労を劇的に軽減してくれることでしょう。

5-2. 死角をなくす「インテリジェント アラウンドビューモニター」

駐車時や狭い道での安全確認をサポートする「インテリジェント アラウンドビューモニター」も進化しています。従来の3Dビューやフロントワイドビューに加え、まるでボンネットが透けて見えるかのように、フロントタイヤの位置や前方の路面状況を確認できる「インビジブルフードビュー」機能を搭載。これまで死角となっていたエリアを可視化することで、誰でも安心して運転できる環境を提供します。

5-3. EVの価値を拡張するV2LとV2Hへの対応

新型リーフは、単なる乗り物としての価値に留まりません。「V2L(Vehicle to Load)」および「V2H(Vehicle to Home)」に完全対応しており、「動く蓄電池」としての役割を果たします。V2L機能を使えば、災害による停電時やアウトドアレジャーの際に、車から電力を取り出して電化製品を使用できます。米国仕様では室内と荷室に合計最大1500Wのコンセントが装備され、日本では専用アダプターを介して最大1500Wの電力を供給可能です。さらにV2Hに対応することで、家庭用の蓄電池として夜間の電力を賄ったり、太陽光発電の余剰電力を蓄えたりと、家庭のエネルギーマネジメントに大きく貢献します。

第6章:市場の期待と乗り越えるべき3つの現実的課題

これまでに見てきたように、新型リーフはデザイン、性能、技術のあらゆる面で飛躍的な進化を遂げ、まさに「フューチャー・スタンダード」を名乗るにふさわしいポテンシャルを秘めています。しかし、その輝かしい未来を実現するためには、乗り越えるべきいくつかの現実的な課題も存在します。

6-1. 快適性に関わる装備の課題:シートベンチレーションは搭載されるか?

今回公開された画像や情報からは、「シートベンチレーションぽいスイッチが見当たらなかった」という指摘がなされています。シートヒーターとステアリングヒーターの搭載は確認されているものの、日本の高温多湿な夏を快適に過ごす上で、シート座面から冷風が出るシートベンチレーション機能の有無は非常に重要です。プロパイロット2.0のような最先端技術を搭載するプレミアムなモデルであるだけに、この快適装備がオプションでも設定されない場合、一部のユーザーにとっては物足りなさを感じる点となるかもしれません。

6-2. 利便性のトレードオフか:Googleビルトインナビが抱える懸念

Googleマップを標準搭載するナビゲーションシステムは、常に最新の地図情報が手に入るなど多くのメリットがある一方で、懸念点も指摘されています。それは、ボルボやホンダ・アコードなどの先行事例で見られるように、「高速道路のパネル表示が出ないのではないかという懸念」です。日本のドライバーが長年慣れ親しんできた、ジャンクションやサービスエリアをグラフィカルに表示する案内形式が利用できない可能性があります。もちろん、ワイヤレスのApple CarPlayやAndroid Autoに対応しているため、Pioneerの「COCCHi(コッチ)」のようなサードパーティ製ナビアプリを使用すればこの問題は解決可能ですが、標準機能で完結させたいユーザーにとっては、インターフェースの使い勝手が評価の分かれ目となるでしょう。

6-3. 日本市場特有の壁:CHAdeMO充電インフラの現実

新型リーフは、最大150kWという優れた急速充電性能を備えています。しかし、その性能を最大限に引き出すためには、充電器側もそれに対応している必要があります。北米仕様では、テスラが主導する充電規格「NACS」が採用され、スーパーチャージャー網の利用が可能になる一方で、日本仕様では従来通りの「チャデモ仕様」となることが確認されています。

ここが、日本市場における最大の課題となる可能性があります。現状、日本のCHAdeMO規格の急速充電器は、その多くが出力50kW以下であり、「150kWまで出ているチャデモの充電器がどれほどあるのか」という根本的な疑問が残ります。また、「30分の急速充電で航続可能距離がもう80kmぐらいしか足されてない」といった低出力のケースや、充電器自体の故障が多いといったインフラ側の問題も指摘されています。テスラのスーパーチャージャーの利便性と信頼性の高さを知るユーザーからは、「テスラのスーパーチャージャーも使えた方が意外と便利だったのかもな」という声も聞かれ、新型リーフのポテンシャルを日本のインフラが活かしきれないというジレンマが生じる可能性は否定できません。

はい、承知いたしました。先ほどの記事の内容を以下に箇条書きでまとめます。

新型日産リーフ(2025年モデル)の要点まとめ

概要

  • 発表・発売: 2025年6月17日に公開、2025年10月に日本発売予定。
  • コンセプト: EVの「フューチャー・スタンダード(未来の当たり前)」を目指すモデル。
  • 最大の変化: 従来のハッチバックスタイルから、流麗なクーペSUVスタイルへ全面刷新。

デザイン(エクステリア)

  • スタイル: 日産アリアを彷彿とさせるクーペSUVデザイン(通称「ミニ・アリア」)。
  • フロント: 進化した「デジタルVモーション」グリルと短いボンネットフード。
  • リア: フェアレディZのような「LED3ホログラフィックコンビネーションランプ」を採用。
  • 空力性能: CD値0.26(日本仕様)を達成。格納式のフラッシュドアハンドルなどを採用。
  • ボディサイズ: 全長4360mm x 全幅1810mm x 全高1550mm。日本の多くの立体駐車場に対応可能なサイズ。

デザイン(インテリア)

  • ディスプレイ: 14.3インチの大型一体型「モノリススタイル」デュアルディスプレイを搭載。
  • インフォテインメント: Googleマップなどを内蔵したGoogleビルトイン機能を採用。ワイヤレスのApple CarPlay/Android Autoにも対応。
  • 快適装備:
    • 日産初の調光パノラミックガラスルーフ(4パターン切り替え、赤外線反射コーティング付)。
    • 長距離の疲労を軽減する「ゼログラビティシート」。
  • オーディオ: BOSE製10スピーカープレミアムサウンドシステム(ヘッドレストスピーカー含む)。
  • その他: ボタンタイプのシフト、64色から選べるアンビエントライト、質感の高いソフトパッドを多用。

走行性能 & パワートレイン

  • プラットフォーム: アリアと共通のEV専用「CMFプラットフォーム」を採用し、低重心と高い走行性能を実現。
  • ボディ剛性: 先代比で横方向の剛性が66%向上。
  • サスペンション: リアに乗り心地と安定性に優れるマルチリンク式を採用。
  • パワートレイン: 小型・高トルク化した新開発「3-in-1電動パワートレイン」を搭載し、モーター振動を75%低減。

バッテリー & 航続距離

  • バッテリー種類: 52.9kWhと75.1kWhの2種類。
  • 航続距離: 75.1kWhモデルはWLTCモードで600km以上を達成。
  • 温度管理: リーフとして初めて水冷式のバッテリー温度調整システムを採用し、性能を安定化。

充電性能 & エネルギーマネジメント

  • 急速充電: 最大150kWの急速充電に対応。10%から80%までの充電が最短35分で完了。
  • エネルギー管理:
    • ナビリンクバッテリーコンディショニング: ナビと連携し、充電効率を最大化するようバッテリー温度を自動調整。
    • エネマネ: 車両全体の廃熱を暖房などに再利用し、エネルギー効率を最大化。

先進運転支援 & 利便機能

  • 運転支援: 高速道路でのハンズオフ運転が可能な「プロパイロット2.0」を日本仕様に搭載。
  • 安全機能: 死角を可視化する「インビジブルフードビュー」付きアラウンドビューモニターを搭載。
  • 外部給電: 災害時やアウトドアで役立つ**V2L(Vehicle-to-Load)およびV2H(Vehicle-to-Home)**に対応。

懸念点・課題

  • 装備の有無: シートベンチレーションの搭載が現状不明。
  • ナビの仕様: Googleマップ内蔵により、日本で馴染み深い高速道路のジャンクション案内などのパネル表示がなくなる可能性。
  • 充電インフラ: 日本のCHAdeMO充電器の多くが150kW出力に対応しておらず、新型リーフの高速充電性能を最大限に活かせない懸念。

市場での展望

  • 競合: テスラ モデル3、フォルクスワーゲン ID.3、BYD、ヒョンデなどが強力なライバルとなる。
  • 成功の鍵: 性能に見合った戦略的な価格設定と、技術の裏付けを示してユーザーの不安を払拭する信頼性の可視化が重要。

編集部から一言

デザイン、走行性能、バッテリー技術、先進運転支援に至るまで、新型日産リーフが遂げた進化は、まさに革命的です。ハッチバックからクーペSUVへの大胆な転身、600kmを超える航続距離、そしてプロパイロット2.0の搭載は、EV市場における新たな「基準」を打ち立てるに十分なインパクトを持っています。

しかし、その成功は約束されたものではありません。現在のEV市場は、絶対的な王者であるテスラ モデル3、そしてフォルクスワーゲン ID.3や、BYD、ヒョンデといった価格競争力に優れたアジア系EVがひしめく群雄割拠の時代です。新型リーフがこれらの強力なライバルと渡り合うためには、その魅力的な性能に見合った、消費者が納得できる戦略的な「価格設定」が不可欠となるでしょう。

そしてもう一つ、EV普及の鍵を握るのが、ユーザーの「安心感」です。あるジャーナリストは、EVの内部構造や安全性の実証実験といった、メーカーにとっては舞台裏である部分を積極的にユーザーに見せる「オープンキッチン化」の重要性を提唱しています。バッテリーの発火や水没への不安など、「知らないからこそ怖い」と感じるユーザーに対し、その技術的な優位性や安全性の根拠を可視化して伝える努力が、最終的に「所有した時の喜び」とブランドへの信頼を醸成します。

新型日産リーフは、EVのパイオニアとしての歴史と信頼性を土台に、未来のスタンダードとなるべき資質を全て備えて登場しました。その真価が問われるのは、価格が発表され、ユーザーが実際にそのハンドルを握る2025年秋。単なる高性能なEVという評価に留まらず、日本の充電インフラの課題を乗り越え、ユーザーとの新たな信頼関係を築き上げることができるのか。日産の、そして日本のEVの未来を占う、重要な試金石となることは間違いありません。

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この記事を書いた人

IT業界でのキャリアを経て独立し、自動車関連ビジネスの立ち上げにも関わってきました。その経験から得た自動車に関する深い知識や、実際に多くの車種に試乗し、整備にも携わってきた経験を基に、お車選びに迷われている方々へ、判断の一助となるような情報発信を心掛けています。

これまで乗り継いできた愛車は、プリウス、アルファード、ハリアーといった実用性と快適性に優れた国産の人気モデルが中心です。

現在は、愛犬とのドライブが日々のリフレッシュになっており、週末には様々な車の試乗を重ねることが趣味の一つです。これまでに試乗した車の数は、数百台にのぼります。

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