日産は新型エクストレイルT34型のフルモデルチェンジを行い2028年頃に日本発売を予定している。
日産の屋台骨を支えるミドルサイズSUVの雄、「エクストレイル」。現行T33型が2022年に登場し、第2世代e-POWERとe-4ORCEによる革新的な走りで市場に衝撃を与えたのは記憶に新しい。そして今、そのエクストレイルが次なるステージ、T34型へと進化を遂げるフルモデルチェンジの全貌が、徐々に明らかになりつつある。北米市場で「ローグ」として先行公開される情報やティザーイメージからは、デザイン、パワートレイン、先進技術の全てにおいて、現行モデルを凌駕するポテンシャルが垣間見える。本稿では、2025年現在の最新情報を基に、期待高まる新型エクストレイルT34型の魅力を徹底的に掘り下げ、その未来図を予測する。
【発売時期】最大の関心事!新型エクストレイルT34型の日本上陸は2028年度が有力か?

新型エクストレイルの日本導入時期は、多くのファンが最も注目するポイントだろう。日産の公式発表によると、北米市場向けの姉妹車「ローグ」の次期型(T34型)は、2026年度に生産が開始される予定だ。過去のT33型導入時、北米ローグの発売から日本エクストレイルの登場まで約1年9ヶ月のタイムラグがあったことを考慮すると、このT34型エクストレイルの日本市場への上陸は、2028年度頃になる可能性が高いと現時点では予測される。一部では2026年後半という早期導入説も囁かれるが、グローバルな生産計画や国内市場の状況を鑑みると、じっくりと熟成期間を経ての登場となる公算が大きい。
【エクステリア】タフギアのDNAを継承し、未来を纏うT34型エクストレイルの衝撃的デザイン

フルモデルチェンジによって、新型エクストレイルは型式も新たに「T34型」へと進化する。そのエクステリアデザインは、現行T33型の面影を残しつつも、より大胆で先進的なものへと変貌を遂げるようだ。公開されたティザーイメージからは、フロントフェイスの劇的な変化が読み取れる。
まず目を引くのは、緻密なハニカムパターンが施された大型フロントグリルだ。グリルの両脇には、同じくハニカム形状のデイタイムランニングライトが片側に5つずつという、極めて特徴的で斬新なデザインが採用される。これは、一目で新型エクストレイルと分かる強烈なアイデンティティを放つだろう。ヘッドランプユニットは、内部に3つの光源を持つ三眼LEDタイプとなり、現行よりもシャープでコンパクトな印象を与える。ボンネットフードの形状も刷新され、フロントマスク全体のダイナミックさを強調する。
リアデザインにおいても、近年のトレンドである一文字タイプのLEDテールランプが採用される見込みで、ワイド感とモダンさを演出する。サイドビューは、現行モデルの力強いシルエットを継承しつつ、新しいキャラクターラインや特徴的なホイールデザイン(ティザーでは幾何学的なパターンが示唆されている)によって、新鮮味が付加されるだろう。タフギアとしての力強さと、都会的な洗練性、そして未来感が高度に融合したエクステリアデザインに期待が高まる。
【インテリア】デジタルと上質感が織りなす、T34型エクストレイルの次世代コックピット
新型エクストレイルのインテリアは、エクステリアの進化に呼応し、デジタル技術と素材の質感向上によって、機能性と快適性が飛躍的に高められるだろう。ドライバーの眼前に広がるのは、高精細な最新世代のデジタルインストルメントクラスター。ナビゲーション情報や先進運転支援システムの作動状況などを、多彩な表示モードで分かりやすく提供する。
センターコンソールには、大型のタッチスクリーンインフォテインメントシステムが鎮座し、「Googleビルトイン」が搭載される可能性が高い。これにより、スマートフォン連携なしにGoogleマップやGoogleアシスタント、各種アプリが利用可能となり、シームレスなコネクテッド体験が実現する。さらに、運転に必要な情報をフロントガラスに投影する**大型ヘッドアップディスプレイ(HUD)も採用され、視線移動を最小限に抑え、安全運転をサポートする。
内装全体の質感も大幅に向上し、ソフトパッドの使用範囲拡大や緻密なステッチ、効果的な金属調加飾などにより、クラスを超えた上質感を演出するはずだ。エクストレイル伝統のユーティリティ性能も、プラットフォーム刷新によるパッケージングの最適化で、さらなる進化が期待される。
【パワートレイン】電動化技術の頂点へ!第3世代e-POWERと待望のPHEVがT34型を駆動する

新型エクストレイルT34型の心臓部には、日産の電動化技術の粋が集められる。その主役は、さらなる進化を遂げた「第3世代e-POWER」と、新たにラインナップに加わる「プラグインハイブリッド(PHEV)」だ。
第3世代e-POWERは、発電専用エンジンとして新開発の1.5リッターエンジンを搭載。最大の注目点は、日産が公表している高速走行時の燃費性能の最大15%向上だ。これにより、従来のe-POWERがやや苦手としていた高速巡航時の経済性が大幅に改善される。モーター出力の向上も期待され、一部情報ではシステム出力がFFモデルで300ps、4WDモデルで340psに達するとも噂されており、これが実現すれば現行モデルを大幅に上回るダイナミックな走行性能を手に入れることになる。エンジンの作動制御もより高度化され、ロードノイズに応じて発電タイミングを最適化することで、e-POWERの持ち味である静粛性に磨きがかかる。もちろん、アクセルペダルだけで加減速を自在にコントロールできる「e-Pedal Step」も健在だ。
そして、新型エクストレイルには待望のプラグインハイブリッド(PHEV)モデルが設定される見込みだ。これは、アライアンスを組む三菱自動車の「アウトランダーPHEV」のシステムをベースとしたものになると予想される。2.4Lガソリンエンジンに、フロントとリアに強力な駆動モーターを組み合わせたツインモーター4WDシステムを採用し、大容量バッテリー(20kWhクラスか)を搭載することで、80kmを超えるEV走行距離を実現する可能性がある。日常の移動の大部分を電気だけでカバーできる経済性に加え、外部からの充電、そして災害時などに役立つV2L/V2H(外部給電機能)も魅力だ。
後輪にも独立モーターを搭載する4WDモデルには、日産独自の電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」が引き続き採用され、その制御はさらに洗練される。緻密なトルク制御により、あらゆる路面状況で優れたトラクション性能と安定したコーナリング、そしてフラットで快適な乗り心地を提供する。
一部情報では、1.5L VCターボエンジンを搭載した純ガソリンエンジンモデルの存続も示唆されているが、日産の電動化戦略の流れを考えると、日本市場ではe-POWERとPHEVが主力となる可能性が高い。
【燃費性能】経済性と走りの歓びを高次元で両立するT34型の環境パフォーマンス
燃費性能は、新型エクストレイルの大きな注目点のひとつだ。特に主力となる第3世代e-POWERは、前述の通り高速燃費が大幅に改善されるため、WLTCモード燃費でFFモデルが21.0km/L前後、4WD(e-4ORCE)モデルが19.5km/L前後に達するのではないかと予測されている。これは現行モデルを凌駕する数値であり、実用燃費の向上に大きく貢献するだろう。
PHEVモデルは、三菱アウトランダーPHEV(WLTCモード複合燃費16.2km/L、EV走行距離83-87km)を参考にすると、WLTCモード燃費で17km/L台後半、EV走行距離で80km以上という優れた数値を実現する可能性が高い。これにより、環境負荷の低減とランニングコストの削減を両立する。
【安全・運転支援】プロパイロット進化と次世代AI技術がもたらす、最高水準のインテリジェントセーフティ
安全性能と運転支援技術においても、新型エクストレイルは最先端を走る。車両周囲360°の危険を検知し事故を未然に防ぐ「360°セーフティーアシスト」は、センサー性能の向上によりさらに高機能化。夜間の視界を確保する「アダプティブLEDヘッドライトシステム」や、緊急時の「SOSコール」も搭載される。
高速道路同一車線運転支援技術「プロパイロット」は、ナビゲーションシステムと連携した「ナビリンク機能」がさらに進化し、よりスムーズで自然な運転支援を実現する。そして注目すべきは、日産が2027年度以降の市販車搭載を目指す、AIを活用した次世代プロパイロットの搭載可能性だ。英国Wayve社と共同開発するこの技術は、より複雑な交通状況への対応を目指しており、T34型エクストレイルに搭載されれば、運転の負担を劇的に軽減するだろう。駐車を自動で行う「プロパイロット パーキング」も引き続き搭載される。
【プラットフォーム・ボディサイズ】見えない進化が走りの質を劇的に高める
新型エクストレイルのボディサイズは、現行T33型から大幅な変更はなく、全長4670mm×全幅1840mm×全高1725mm、ホイールベース2705mm程度と、扱いやすいサイズ感を維持する見込みだ。しかし、その根幹となるプラットフォームは、最新のCMF(コモン・モジュール・ファミリー)プラットフォームの進化版が採用され、ボディ剛性が大幅に向上すると予想される。これにより、操縦安定性、乗り心地、静粛性、衝突安全性といった、クルマの基本性能が飛躍的に高められる。
【価格】価値ある進化の対価は? 新型エクストレイルT34型のプライシング戦略
先進技術の数々を搭載する新型エクストレイルT34型は、現行モデルからの価格上昇は避けられないだろう。一部予測では、全体的に20万円程度のアップが見込まれている。第3世代e-POWERやPHEVシステムのコスト、先進安全装備の充実、内外装の質感向上などが主な要因だ。現行モデルの価格帯を考慮すると、e-POWERモデルのエントリー価格は370万円台から、PHEVモデルや上級グレードは500万円台後半から600万円を超える可能性も視野に入れる必要がある。日産がこの価格上昇に見合うだけの「価値」をユーザーに提示できるかが、販売戦略上の鍵となる。
【まとめ】電動SUVの新たなベンチマークへ、T34型エクストレイルが切り拓く未来
新型エクストレイルT34型は、単なるモデルチェンジを超え、日産の電動化戦略と技術力を世界に示すショーケースとなるだろう。洗練されたデザイン、進化したe-POWERとPHEVによる卓越した走行性能と環境性能、そして次世代を見据えた先進安全技術。これら全てが融合し、エクストレイルはミドルサイズSUV市場における新たなベンチマークとなるポテンシャルを秘めている。タフギアとしての伝統を胸に、電動化の翼を広げ、未来へと力強く走り出す新型エクストレイル。その登場は、日本の、そして世界のSUVファンにとって、待ち遠しい限りだ。今後の続報に、最大限の期待を寄せたい。
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