ホンダ フィット用「フランツシステム」一部改良!MVCS装備車にも対応、価格405万円から

ホンダ フィット e:HEV Zの外観(フロント)

ホンダアクセスは、両腕(両上肢)が不自由な人が両足だけでクルマを運転できる運転補助装置「Honda・フランツシステム」を一部改良し、2026年10月8日に全国のHonda Carsで発売しました。今回の改良で、2026年7月にマイナーモデルチェンジした「フィット」のうち、マルチビューカメラシステム(MVCS)を装備した車両にも架装できるようになりました。装着車の価格は、e:HEV Z(FF)の405万2000円(消費税非課税)からです。

ホンダ フィット e:HEV Zの外観(フロント)
画像:Honda
目次

フィット用フランツシステム一部改良の概要

今回の発表のポイントは、「フランツシステムを選ぶと、周囲を映すカメラ装備をあきらめなければならない」という制約がなくなったことです。マイナーモデルチェンジ後のフィットに用意されたマルチビューカメラシステムと、足で運転するための専用装置を同じクルマで組み合わせられるようになりました。

項目 内容
発表・発売日 2026年10月8日(木)
発表元 株式会社ホンダアクセス
販売 全国のHonda Cars(車両の製造を含めて受注生産)
ベース車 フィット e:HEV Z/フィット e:HEV CROSSTAR(専用タイプカラー)
適用型式 GR3-730/GR4-730/GR6-730/GR8-730
改良内容 マルチビューカメラシステム(MVCS)装備車への架装に対応
価格(装着車) 405万2000円~446万7000円(消費税非課税)

装着車は、販売店で通常のフィットを買って後から改造するのではなく、車両の製造から含めた受注生産です。また、登録は「持ち込み登録」が必要になります。注文から納車までの流れが通常のフィットとは違う点は、早めに知っておきたいところです。

フランツシステムとは?40年以上続くホンダの運転補助装置

フランツシステムは、1965年にドイツで生まれた足動式の運転補助装置です。ヨーロッパで評価を得てきたこの仕組みについて、ホンダは1981年に開発者のフランツ氏から直接技術指導を受け、独自の技術を加えて1982年に国内で初めて販売しました。それから40年以上、国内でフランツシステムを適用しているのはホンダだけです(ホンダアクセス調べ、2026年10月時点)。

2021年からは、フランツシステムで運転免許を取りたい人のために、教習車の貸し出しも行っています。自分のクルマを用意しなくても教習を受けられるため、「免許を取る前に車両を買わなければならない」という負担を減らせます。なお、貸し出し時の車両の輸送費などは利用者の負担です。

デザイン・ベース車:フィット e:HEV ZとCROSSTARの2タイプ

ベースになるのは、ハイブリッドの「e:HEV」を積むフィットのうち、上級仕様の「Z」と、SUV風の装いの「CROSSTAR(クロスター)」です。いずれもフランツシステム用の専用タイプカラーとして設定されています。

ホンダ フィット e:HEV CROSSTARの外観(フロント)
画像:Honda

CROSSTARは2トーンカラーのみの設定で、表示価格には有料色の代金が含まれています。一方、Zは選ぶボディーカラーによって価格が変わります。プラチナホワイト・パール、スレートグレー・パール、フィヨルドミスト・パール、シーベットブルー・パールは3万円高、プレミアムサンライトホワイト・パールとプレミアムクリスタルレッド・メタリックは5万円高(いずれも消費税非課税)です。見積もりの際は、色による差額を忘れずに確認しましょう。

フィットはコンパクトカーなので、取り回しのしやすさが魅力です。足で操作するステアリングペダルや足元のスイッチ類は運転席の床まわりに集中して配置されるため、ボディサイズが大きくなるわけではありません。普段使いの駐車場や狭い道での扱いやすさは、そのまま生かせます。

装備:足だけで運転するための仕組み

ホンダ フィット e:HEV Zのインテリア(運転席まわり)
画像:Honda

足用ステアリングペダルユニット(標準装備)

ハンドル操作を担うのが、左足で使うステアリングペダルユニットです。ペダルに固定された靴をはき、自転車のペダルをこぐように回すとハンドルが左に回り、逆向きに回すと右に回ります。ステアリングペダルは取り外すことができ、外せば通常のクルマと同じようにハンドルで運転することもできます。家族と1台を共有する場合に便利な点です。

ペダルに付ける靴は利用者が事前に用意し、取り付けた状態で納車されます。また、このユニットには「ブレーキロック」の機能があります。ブレーキロックを押しながらブレーキペダルを踏むとブレーキが固定され、もう一度ブレーキペダルだけを踏むと解除されます。シフト操作を落ち着いて行うための機能です。

足用コンビネーションスイッチ(標準装備)

ウインカーやライト、ワイパーなど、走行中に使うスイッチ類は右足の足元にまとめられています。主なスイッチは次のとおりです。

  • ウインカー(左・右)、パッシング、ライト(ハイ/ロー)
  • フロントワイパー(HI・INT)、リアワイパー、前後のウインドウウォッシャー
  • ハザード、ホーン
  • Honda SENSINGのスイッチ(渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール、車線維持支援システム)

スイッチの並べ方は9パターンから選べます。足の動かしやすさは人によって違うため、自分に合う配置を選べるのは大事なポイントです。運転支援機能のスイッチまで足元に用意されているので、高速道路などでACCやLKASを使った運転もしやすくなっています。

足用シフトペダル(オプション)

ホンダ フィット フランツシステムの足用シフトペダル
画像:Honda

シフト操作は、ペダルを「右に回す」「上下に動かす」という2つの動作の組み合わせで行います。たとえばPレンジは左に回す、Rレンジは右に回してからつま先側を踏む、Dレンジは右に回してからかかと側を踏む、といった操作です。足で操作すると、車両に付いている通常のセレクトレバーも連動して動きます。

パッシブシートベルト(オプション)

ホンダ フィット フランツシステムのパッシブシートベルト(自動装着式シートベルト)
画像:Honda

手を使わずにシートベルトを着けるための装備が、自動装着式のパッシブシートベルトです。ドアの開け閉めに合わせて、バックルを留めたまま着け外しができます。ただし、この装備を付けた車両では、後席右側にサポートレッグ付きのi-Size(アイサイズ)チャイルドシートを付けられません。小さな子どもを乗せる家庭は、チャイルドシートの種類と取り付け位置を事前に販売店で確認しておきましょう。

マルチビューカメラシステム(メーカーオプション)

今回対応したマルチビューカメラシステムは、フロント、リア、左右のドアミラー下に付けたカメラの映像をコンピューターで処理し、クルマを上から見下ろしたような「グラウンドビュー」などをナビ画面に表示する装備です。クルマの前や横、後ろの死角を画面で確認できるため、駐車や狭い場所での取り回しを助けてくれます。

価格・グレード

装着車の価格は、車両本体に標準装備(足用ステアリングペダルユニット、足用コンビネーションスイッチ)を含めたものです。福祉車両の扱いのため、価格は消費税非課税で示されています。

タイプ 駆動方式 価格(消費税非課税)
e:HEV Z FF 4,052,000円
e:HEV Z 4WD 4,252,000円
e:HEV CROSSTAR FF 4,267,000円
e:HEV CROSSTAR 4WD 4,467,000円
オプション 区分 価格(消費税非課税)
足用シフトペダル 専用オプション 275,000円
パッシブシートベルト(自動装着式シートベルト) 専用オプション 361,000円
フロアカーペットマット(フランツシステム用) ディーラーオプション 19,000円

フロアカーペットマットはフランツシステムに合わせた専用設計で、別に取り付け工賃がかかります。また、消費税が非課税になるのは購入時(納車時)に付ける場合だけです。運転席側のマットは、必ず専用のホルダーで固定して使います。価格には保険料、税金、登録などの費用は含まれていません。

独自の考察:選び方と購入時の注意点

オプションを全部付けるといくら?

シフト操作とシートベルトの着用まで足だけで行いたい場合は、足用シフトペダルとパッシブシートベルトの両方が必要になります。この2つの合計は63万6000円です。いちばん安いe:HEV Z(FF)に付けると468万8000円、フロアカーペットマットも加えると470万7000円になります(取り付け工賃、有料色、諸費用は別)。e:HEV CROSSTAR(4WD)で同じ組み合わせにすると512万2000円です。どこまで足で操作する必要があるかは人によって違うので、身体の状態に合わせて必要な装備を選ぶのが現実的です。

ZとCROSSTAR、FFと4WDの選び方

同じ駆動方式で比べると、CROSSTARはZより21万5000円高くなります。ただし、CROSSTARの価格には2トーンの有料色の代金が含まれており、Zで有料色を選ぶと差は小さくなります。4WDはFFより20万円高いので、雪の多い地域に住む人や、冬にスキー場などへ出かける機会が多い人に向いています。街乗りが中心ならFFで十分という人も多いでしょう。

マルチビューカメラシステムに対応した意味

足で運転する場合、後ろを振り返る、身を乗り出して周りを見るといった動きがしにくいことがあります。カメラの映像で周囲を確認できる装備を選べるようになったのは、安心して運転するうえで大きな前進といえます。特に、自宅の車庫入れや狭い駐車場をよく使う人には、選ぶ価値の高い装備です。

購入までの流れで気をつけたいこと

  • 受注生産なので、納車までに時間がかかることを見込んでおく。
  • 持ち込み登録が必要なため、手続きの進め方を販売店と確認する。
  • ステアリングペダル用の靴は自分で用意する。
  • 免許を取る前の人は、教習車の貸し出し制度の使い方を相談する。
  • チャイルドシートを使う家庭は、パッシブシートベルトとの組み合わせに注意する。

実際の車両に触れられる展示車や試乗車は、福祉車両に詳しい「オレンジディーラー」で確認できます。ホンダの公式サイトでは、購入の検討から免許取得までの流れや、スイッチ配置のパターン表も公開されています。

よくある疑問

家族も普通に運転できる?

ステアリングペダルは取り外しができ、外せば通常どおりハンドルで運転できます。1台のクルマを家族で使い分けることも考えられた仕組みです。

ほかの車種でも選べる?

2026年10月時点の適用車種は、フィット e:HEV Zとフィット e:HEV CROSSTARの2タイプです。それ以外の車種には設定されていません。

まとめ

ホンダアクセスのフィット用「Honda・フランツシステム」は、今回の一部改良でマルチビューカメラシステム装備車にも架装できるようになりました。両足だけで、ハンドル、スイッチ類、シフト、シートベルトまで操作できる仕組みに、周囲を映すカメラ装備を組み合わせられるようになったのが最大の変化です。価格はe:HEV Z(FF)の405万2000円からで、オプションの組み合わせによって総額は大きく変わります。受注生産や持ち込み登録といった独自の手続きもあるため、検討している人は早めにオレンジディーラーなどの販売店へ相談するとよいでしょう。

参考ページ

ホンダ フィット e:HEV Zの外観(フロント)

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この記事を書いた人

IT業界でのキャリアを経て独立し、自動車関連ビジネスの立ち上げにも関わってきました。その経験から得た自動車に関する深い知識や、実際に多くの車種に試乗し、整備にも携わってきた経験を基に、お車選びに迷われている方々へ、判断の一助となるような情報発信を心掛けています。

これまで乗り継いできた愛車は、プリウス、アルファード、ハリアーといった実用性と快適性に優れた国産の人気モデルが中心です。

現在は、愛犬とのドライブが日々のリフレッシュになっており、週末には様々な車の試乗を重ねることが趣味の一つです。これまでに試乗した車の数は、数百台にのぼります。

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