テスラが、長く開発が続いてきた新型EVスポーツカー「Roadster(ロードスター)」を、2026年10月16日(現地時間)に米国で発表しました。日本の公式サイトでもすでに予約の受付が始まっています。
新型ロードスターは、ロケット技術を応用した「コールドガススラスター」を搭載し、0-100km/h加速は1秒未満。さらに招待制の「Rocket」仕様では、空を飛ぶことまで想定しています。この記事では、3つの仕様の違いと主な技術、日本での予約方法を整理します。

新型ロードスターの概要
| 車名 | Tesla Roadster |
|---|---|
| 発表 | 2026年10月16日(現地時間) |
| 仕様 | Performance/Thrust(スラスト)/Rocket |
| 0-100km/h加速 | 1秒未満(スラスト仕様) |
| 日本での予約 | 受付中(左ハンドル車のみ) |
| 車両価格・航続距離 | 未発表 |
10年近くを経て実現した2代目ロードスター
ロードスターは、テスラが2008年に発売した最初の市販車の名前です。2代目となる新型は2017年に試作車が公開されましたが、その後は発売時期が何度も延びていました。
2018年には、初代ロードスターがSpaceXのロケットに積まれて宇宙へ打ち上げられたことも話題になりました。今回の新型について、テスラは「今度はRoadsterにロケットを搭載する」と表現しており、SpaceXの技術を取り入れたことを前面に打ち出しています。
初代ロードスターが果たした役割
初代ロードスターは、英国ロータスのスポーツカーをベースに開発された2人乗りのEVです。当時は「電気自動車は遅くて航続距離が短い」というイメージが一般的でしたが、ロードスターはスポーツカーとして十分な加速性能を示し、EVの印象を大きく変えました。この成功が、のちのモデルSやモデル3につながっていきます。
2017年の試作車公開から9年
2代目ロードスターの試作車は、2017年11月に電動トラック「セミ」の発表会の場でサプライズ公開されました。このときテスラは、0-60mph(約97km/h)加速1.9秒、航続距離620マイル(約1,000km)、基本価格20万ドルといった目標を掲げていました。
しかし、その後はモデル3やモデルYの量産、サイバートラックの開発などが優先され、ロードスターの発売時期は何度も延期されました。今回の発表は、試作車の公開から約9年を経て、ようやく市販に向けた具体的な内容が示されたことになります。
なお、2017年に掲げられた数値は当時の目標です。今回発表された新型の航続距離や価格は、まだ明らかにされていません。
3つの仕様の違い
| 仕様 | 乗車定員 | 特徴 | 販売方法 |
|---|---|---|---|
| Performance | 2人 | 公道走行に対応。アクティブエアロとマルチモード・サクションシステムを装備 | 予約制 |
| Thrust(スラスト) | 2人 | レース走行に対応。車両後部にコールドガススラスターを追加し、0-100km/h加速は1秒未満 | 数量限定 |
| Rocket | 1人 | 飛行に対応。車両の周囲に配置したスラスターで前進・上昇・横方向の回転を補助 | 完全招待制 |
公道を走れるのはPerformance仕様です。スラストはオプションのアップグレードという位置づけで、Rocketは公道での使用が認められていません。また、Rocketはすべての地域で提供されるわけではないとされています。

新型ロードスターの主な技術
マルチモードファンとグランドシーリング
車体の下から空気を吸い出し、クルマを地面に押し付ける力(ダウンフォース)を生み出す仕組みです。テスラによると、止まっている状態でも車体を地面に押さえつけられるほどの吸引力があり、電動ファンとアクティブウイングの組み合わせで、速度に関係なく強いダウンフォースを得られるといいます。
コールドガススラスター
圧縮したガスを噴き出して推進力を生む装置で、宇宙ロケットの姿勢制御などに使われる技術です。新型ロードスターでは完全電動のアクチュエーターで制御し、1秒未満の短い時間で細かく推力を調整できるとしています。

徹底した軽量化
マグネシウム、チタン、カーボンファイバーといった軽くて強い素材を多く使い、さらに操作系をマニュアル化したりシート位置を固定したりして重量を減らしています。ドライバーの操作に素早く反応する走りを狙った設計です。
デザイン・内装
ヘッドライトを隠したデザインや、車体の幅いっぱいに伸びるテールライト、段差を抑えたボディ表面が特徴です。ボディカラーの「Ano White」は、ロケットを宇宙環境から守る塗装から着想を得たもの。ガラスには、宇宙服のバイザーのような金色の輝きを持たせています。

インテリアはウルトラホワイトを基調に、グレーのマイクロスエードをアクセントにしたデザイン。シートの穿孔(小さな穴)は、スピード感を表現したパターンになっています。

日本での予約方法と金額
日本ではテスラ公式サイトからPerformance仕様を予約できます。2026年10月18日時点の予約ページでは、支払いは次の2段階です。
| 予約時に支払う注文料 | 680,000円(全額返金可能) |
|---|---|
| 10日以内に支払う金額 | 6,140,000円 |
10日以内の入金が確認できた時点で予約が確定し、期限内に支払わないと予約がキャンセルされる場合があります。また、予約内容を変更しても返金は行われないとされています。これらは予約のための支払いで、車両価格そのものはまだ発表されていません。購入できるのは左ハンドル車のみです。
編集部の視点:新型ロードスターをどう見るか
「速さ」の基準を塗り替える1台
0-100km/h加速1秒未満という数字は、タイヤのグリップだけに頼る従来のクルマでは実現が難しい領域です。ファンによるダウンフォースとスラスターという、自動車の外から持ち込んだ技術でその壁を越えようとしている点が、新型ロードスターの最大の見どころといえます。
なぜ「1秒未満」がすごいのか
0-100km/hを1秒で加速するには、平均で重力の約2.8倍(約2.8G)の加速度が必要になります。ところが、一般的なクルマはタイヤと路面の摩擦だけで前に進むため、出せる加速度はおおむね1G前後が限界とされています。どれだけ強力なモーターを積んでも、タイヤが空転してしまえば、それ以上は速くなりません。
新型ロードスターは、この限界を2つの方法で超えようとしています。ひとつは、ファンで車体を地面に吸い付けてタイヤのグリップを高めること。もうひとつは、スラスターでガスを噴射し、タイヤに頼らない推進力を加えることです。つまり、クルマの外側にある「空気」と「噴射」の力を使って、タイヤだけでは届かない加速を実現しているのです。
EVはモーターの力を瞬時に、細かく制御できるのが強みです。こうした技術と組み合わせることで、ガソリン車では難しい次元の性能を目指せるのも、EVスポーツカーならではといえます。
予約前に確認したいポイント
現時点では、車両価格や航続距離、日本での納車時期は発表されていません。予約には合計で682万円の支払いが必要になり、内容を変更しても返金されない条件もあります。予約を考えている人は、公式サイトの条件をよく読んだうえで判断しましょう。日本の公道で使えるかどうかも、今後の発表を待つ必要があります。
日本で新型ロードスターを検討するときの注意点
左ハンドル仕様のみ
テスラの日本の公式サイトでは、購入できるのは左ハンドル仕様車のみとされています。日本の道路は左側通行のため、右ハンドル車に慣れている人は、追い越しや料金所、駐車場の発券機などで不便を感じる場面があるかもしれません。
仕様によって使える場所が違う
公道を走れるのはPerformance仕様です。スラスト拡張はオプションのアップグレードで、レース走行向けとされています。Rocket仕様は公道での使用が認められておらず、地域によっては提供されません。テスラは、提供状況は各地域の法的要件によって異なるとしており、日本でどの仕様・機能が使えるかは今後の情報を待つ必要があります。
予約金の条件をよく読む
予約時の注文料68万円は全額返金可能とされていますが、10日以内に支払う614万円については、予約内容を変更しても返金されないとされています。車両価格や納車時期が未発表の段階で大きな金額を支払うことになるため、条件を十分に確認したうえで判断しましょう。
テスラ新型ロードスターのよくある質問
Q. 新型ロードスターはいつ発表されましたか?
A. 2026年10月16日(現地時間)に米国で発表されました。
Q. 日本でも買えますか?
A. 日本の公式サイトで、Performance仕様の予約を受け付けています。購入できるのは左ハンドル仕様車のみです。
Q. 価格はいくらですか?
A. 車両価格はまだ発表されていません。日本で予約する場合は、注文料68万円と、10日以内に614万円の支払いが必要です。
Q. 本当に空を飛べるのですか?
A. 完全招待制のRocket仕様は、車両の周囲に配置したコールドガススラスターで飛行に対応するとされています。ただし公道での使用は認められておらず、すべての地域で提供されるわけではありません。
Q. 航続距離はどのくらいですか?
A. 新型の航続距離は発表されていません。
まとめ
テスラの新型ロードスターは、SpaceXの技術を取り入れたコールドガススラスターやファンによるダウンフォースで、0-100km/h加速1秒未満を実現するEVスポーツカーです。日本でもすでに予約が始まっていますが、車両価格や納車時期はまだ分かっていません。続報が入り次第、お伝えします。
