フォルクスワーゲンは、新型の電気自動車(EV)SUV「ID. Tiguan(アイディー ティグアン)」を世界初公開しました。世界的な人気SUV「ティグアン」の名前を受け継ぐEVで、現行のID.4とID.5の後継となるモデルです。
航続距離はWLTPモードで最大600km。ドイツでは2026年10月13日に先行販売が始まり、価格は4万2,695ユーロからです。この記事では、新型ID. Tiguanのサイズや性能、充電性能、新しくなったコックピットを詳しく紹介します。

新型ID. Tiguanの概要
| 車名 | Volkswagen ID. Tiguan |
|---|---|
| 発表 | 2026年10月(ワールドプレミア) |
| 位置づけ | ID.4/ID.5の後継となるミドルサイズの電気SUV |
| 先行販売 | 2026年10月13日〜(ドイツほか欧州各国) |
| ドイツでの価格 | 42,695ユーロ〜 |
| 市場投入 | 2027年初め |
| 航続距離(WLTP) | 最大600km |
| 生産 | ドイツ・エムデン工場 |
| 日本導入 | 未発表 |
「ティグアン」の名前を受け継ぐ意味
ティグアンは、フォルクスワーゲンのSUVの中心となるモデルで、世界中で販売されている人気車種です。日本でも、ガソリン車やディーゼル車のティグアンが販売されてきました。
これまでフォルクスワーゲンのEVは「ID.」に数字を組み合わせた名前(ID.3、ID.4など)が使われてきました。今回は、すでに知名度の高い「ティグアン」の名前を付けることで、EVを特別なクルマではなく「いつものティグアンの選択肢のひとつ」として選んでもらう狙いがあると考えられます。
ID. Tiguanは、ガソリン・ディーゼル・ハイブリッドのティグアンと並行して販売される予定です。ユーザーは同じティグアンの中から、生活スタイルに合ったパワートレインを選べるようになります。
デザインとボディサイズ

エクステリアは、ひとクラス上のクルマのように見える堂々としたデザインになりました。フロントには横一文字に伸びるライトが配置され、EVらしいすっきりとした顔つきです。
| 全長 | 4,618mm |
|---|---|
| 全幅 | 1,855mm |
| 全高 | 1,619mm |
| ホイールベース | 2,765mm |
| 荷室容量 | 最大534L |
| フロントの収納(フランク) | 32L |
荷室は最大534Lで、ボンネットの下にも32Lの収納スペース(フランク)があります。充電ケーブルなどをフランクに入れておけば、荷室を広く使えます。

パワートレイン:3つの仕様から選べる
ID. Tiguanは、フォルクスワーゲンの最新EVプラットフォーム「MEB+」を採用しています。基本は後輪駆動で、四輪駆動の「4MOTION」も選べます。バッテリーは58kWh(LFP)と77kWh(NMC)の2種類です。
| 仕様 | 最高出力 | 0-100km/h | 最高速度 | 航続距離(WLTP) |
|---|---|---|---|---|
| 58kWh・後輪駆動 | 140kW(190PS) | 8.5秒 | 160km/h | 最大450km |
| 77kWh・後輪駆動 | 210kW(286PS) | 6.7秒 | 180km/h | 最大600km |
| 77kWh・4MOTION | 220kW(299PS) | 6.1秒 | — | 最大560km |
※バッテリー容量は正味の値。航続距離は装備によって異なります。
「MEB+」プラットフォームとは
MEBは、フォルクスワーゲングループがEV専用に開発した車台(プラットフォーム)で、ID.3やID.4などに使われてきました。床下にバッテリーを敷き詰める構造のため、室内を広く取りやすく、重心が低くなるのが特徴です。ID. Tiguanが採用する「MEB+」は、その進化版にあたります。新しいバッテリーやモーターに対応し、航続距離や充電性能を高めています。
LFPとNMC、2種類のバッテリーの違い
58kWhのバッテリーには「LFP(リン酸鉄リチウムイオン)」、77kWhには「NMC(ニッケル・マンガン・コバルト系)」が使われています。LFPはコストを抑えやすく寿命が長いとされる一方、同じ重さで蓄えられる電気の量はNMCのほうが多いのが一般的です。日常の買い物や通勤が中心なら58kWh、長距離ドライブが多いなら77kWhと、使い方に合わせて選べる構成です。
充電性能
| バッテリー | 急速充電の最大出力 | 10→80%の充電時間 |
|---|---|---|
| 58kWh | 105kW | 約26分 |
| 77kWh | 165kW | 約29分 |
77kWhの仕様なら、急速充電でおよそ30分休憩する間に、バッテリーの10%から80%まで充電できます。けん引能力は58kWhで最大1,800kg、77kWhで最大2,000kgと、EVとしては高めの数値です。
インテリア:3つのディスプレイと物理ボタンが共存

コックピットは大きく生まれ変わりました。運転席の前に10インチのデジタルメーター、中央に15インチのインフォテインメントディスプレイを配置。さらに、助手席の前にも12インチのディスプレイを用意しています。助手席用ディスプレイは、欧州のフォルクスワーゲン車として初めての採用です。
注目したいのは、エアコンなどの主要な機能に物理ボタンを備えたこと。最近のEVはタッチパネルに操作をまとめる傾向がありますが、運転中に手探りで操作しやすい物理ボタンを残した点は、使い勝手を重視するユーザーにうれしいポイントです。ステアリングにも多機能スイッチが付いています。
- マグネットで位置が合うQi2対応のワイヤレス充電パッド(2つ)
- Harman Kardonサウンドシステム(480W、オプション)
- パノラマサンルーフ(オプション)
- 前席のマッサージ・メモリー・ベンチレーション機能(オプション)
運転支援:信号で自動停止するTravel Assist
アクセルペダルだけで加速と減速ができる「ワンペダルドライブ」を標準で備えています。運転支援システム「Connected Travel Assist」は、高速道路での車線変更の支援に加え、信号を認識して赤信号で自動的に停止する機能も持っています。
グレードと価格
グレードは「Trend」「Life」「Style」「R-Line」の4つです。ドイツでの価格は4万2,695ユーロからで、ドイツをはじめとする欧州各国で2026年10月13日から先行販売が始まりました。市場への投入は2027年初めの予定です。

編集部の視点:日本で販売されたら?
日本の道路にも合うサイズ
全長4,618mm、全幅1,855mmというサイズは、日本で人気のミドルサイズSUVと近い大きさです。全高は1,619mmなので、高さ制限のある立体駐車場では事前の確認が必要ですが、街中でも扱いにくさを感じにくいサイズといえます。
ID.4からの乗り換え候補に
日本では、これまで電気SUVのID.4が販売されてきました。ID. Tiguanは、その後継として航続距離や充電性能、インテリアの使い勝手を大きく高めたモデルです。もし日本に導入されれば、国産・輸入車の電気SUVの中でも有力な選択肢になりそうです。
日本でEVのSUVを選ぶときのポイント
EVを検討するときは、車両の性能だけでなく充電環境も大切です。自宅に普通充電の設備を付けられるかどうかで、毎日の使い勝手は大きく変わります。また、日本の急速充電はCHAdeMO(チャデモ)規格が中心です。欧州で発表された急速充電の出力や時間は欧州の充電規格での数値なので、日本仕様が登場した場合は、日本向けの充電性能も確認するようにしましょう。
航続距離のWLTPモードの数値も、エアコンの使用や高速道路の走行、気温などによって実際の走行距離は短くなります。カタログの数値には余裕を持って考えておくのがおすすめです。
日本導入は未発表
現時点で、フォルクスワーゲンの発表では日本への導入時期や価格には触れられていません。日本向けの情報が発表され次第、改めてお伝えします。
新型ID. Tiguanのよくある質問
Q. ID. Tiguanはどんなクルマですか?
A. フォルクスワーゲンのミドルサイズの電気SUVです。ID.4とID.5の後継にあたり、ガソリン車などのティグアンと並行して販売されます。
Q. 航続距離はどのくらいですか?
A. WLTPモードで、58kWh仕様が最大450km、77kWhの後輪駆動仕様が最大600km、77kWhの4MOTIONが最大560kmです。
Q. 価格はいくらですか?
A. ドイツでは4万2,695ユーロからです。日本での価格は発表されていません。
Q. いつ発売されますか?
A. 欧州では2026年10月13日に先行販売が始まり、市場投入は2027年初めの予定です。
Q. 急速充電にはどのくらい時間がかかりますか?
A. フォルクスワーゲンの発表では、バッテリーの10%から80%までの急速充電にかかる時間は、58kWh仕様(最大105kW)で約26分、77kWh仕様(最大165kW)で約29分です。
Q. 4MOTIONとは何ですか?
A. フォルクスワーゲンの四輪駆動の呼び名です。ID. Tiguanでは77kWhのバッテリーと組み合わせられ、最高出力は220kW(299PS)、0-100km/h加速は6.1秒です。
Q. 日本で買えますか?
A. 日本への導入は、現時点では発表されていません。
まとめ
フォルクスワーゲンの新型ID. Tiguanは、人気SUV「ティグアン」の名前を受け継ぐ電気SUVです。航続距離は最大600km、77kWh仕様なら約29分で10%から80%まで急速充電でき、3つのディスプレイと物理ボタンを組み合わせた使いやすいコックピットも魅力です。欧州では2027年初めに市場投入される予定で、日本導入の発表が待たれます。
